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2026年4月12日追加記事 JR東海371系「あさぎり」
JRのロマンスカー

 小田急電鉄
は古くから国鉄/JR御殿場線に乗り入れ、箱根観光をする人々箱根へ裏側から入るルートを提供するとともに、富士山周辺の観光客を新宿から運んでいたのは、このサイトでも何度か語った通りだ。古くは5000形気動車による「特別準急」の乗り入れがあり、御殿場線電化後は名車3000形SE車が連絡急行「あさぎり」として直通していた。
 3000形の時代は国鉄(JR)側では急行列車扱いとされ、小田急からの片乗り入れのかたちであった。3000形SE車が5連、または5連を2本繋げた10連で運行されていた。
 1987年に国鉄分割民営化により、御殿場線はJR東海に引き継がれる。この頃の東海道新幹線は利用者の増加が続いており、抜本的な対策を立てないと将来はパンクすることが予想された。そこでJR東海は静岡県東部から新幹線のバイパスルートとして東京に乗り入れる策を検討していた。
 同じ頃に小田急電鉄は、バブルの好景気に乗って伊豆箱根の観光客送客を沼津や三島を起点とする西伊豆方面を拡げようとしていた。このために沼津や三島への自社主導によるアクセス向上を模索していた。
 この双方の思惑は、新宿〜御殿場間に運行されている連絡急行「あさぎり」に目が向くことになる。小田急とJR東海は「あさぎり」のテコ入れを行うことで双方の思惑が実現できると踏んだのだ。具体的には「あさぎり」の沼津への延長運転、相互乗り入れによる運行の効率化、特急への格上げによる列車の質的向上というかたちが具現化してゆく。
 そして1991年春、3000形SE車の連絡急行「あさぎり」は、小田急〜JR直通特急「あさぎり」に生まれ変わった。車両は小田急とJR東海の双方が用意、小田急は20000形RSEを投入、JR東海は371系特急電車を投入する。

 我が家にはこの時代の「あさぎり」は小田急20000形RSE車で再現していた。だがこのたび、JR東海371系電車も入手したので今回はこれを紹介する。厳密には小田急の「ロマンスカー」ではないのだが、小田急のロマンスカーファミリーと一緒に活躍するという特殊なJR車両であるため、当サイトでは小田急ロマンスカーの仲間として紹介することにした。

 早速、このたび入手したJR東海371系をアルバム形式で紹介していこう。

 このたび入手した371系は、もちろんマイクロエースの手によるものだ。

 この模型は以前から欲しかったのだが、生産のたびに私が他に欲しいものと重なってしまい諦め続けたという経緯がある。
 最近はネットオークションでもよく見かけるが、見つかるのは末期仕様のシングルアームパンタのものばかり。たまに初期仕様の車両が出てきても、あっという間に予算外まで価格が上がってしまう繰り返しだった。
 このたび、初期仕様をなんとか予算内で落札することに成功したが…これが車体はきれいだけど前オーナーの改造内容に問題があり、まともに走るようになるまでさんざん苦労した。

 ちなみにこの車両、2026年に我が家の屋根裏に作ったレイアウト「石神井急行 武蔵村山線」を走った最初の国鉄/JR車両となった。
 先頭車をズームアップ。
 先頭デザインは独特で、東海道新幹線車両に倣った側面デザインとは一転、運転台周りを黒く塗りつぶして新幹線とは違うイメージを打ち出した。

 この個体、パンタグラフが上手く上がらないんだよなー。ただそんなのはこの模型にあった問題では小さなこと。繰り返すけど、車体はきれいだったんだけど…。

 中間の連結器は、前オーナーによって密連形のKATOカプラー変更されていた。これはいつかTNカプラーに交換したい。
 この車両の特徴は、小田急20000形RSE車と同様に、中間2両がダブルデッカーの「スーパーシート」(グリーン車)とされたことだ。
 小田急はパステルカラーだが車体そのものは保守的なダブルデッカー車体だった。だが371系では、上階と下階の窓を連続窓にするという大胆なデザインで、保守的な東海道新幹線カラーに強いアクセントを入れたのだ。

 この車両が代々木八幡駅のカーブを曲がる迫力は今も忘れない。
 走行中にダブルデッカー車を流し撮り。

 この模型だが、実は我が家の線路に乗せて起動試験をしたら、どこかがショートしていてどうしてもブレーカーが落ちてしまう。色々と原因を探ったら、前オーナーが付けていたサードパーティの室内灯に問題があることが判明。まずこの室内灯を外した。
 この室内灯取り付けに、接着剤で無理矢理繋がっている所もあって、これを無理矢理剥がした(集電スプリングが伸びた)ので室内灯の復元は不可能となった。
 室内灯そのものに問題があったのではなく、接着剤で無理矢理付けるなどの取り付け方法に問題があったようだ。
 編成全体で撮ってみた。小田急20000形RSE車と同様、ダブルデッカー2両込みの7両編成。NSE車の長さに合わせてある。

 先ほどの続きだが、室内灯を外したら通電して走るようにはなったけど、今度はどうしてもカーブを曲がれない。カーブに掛かるたびに脱線してしまうのだ。
 原因は複数車両で台車が回転しなくなっていたことにあった。室内灯を取り付けたときの接着剤が流れたのか、集電バネがウエイトに固定されてしまっていたのだ。
 回転しない台車を外すと、接着剤でウェイトに固定されてしまった集電バネがびよーんと伸びて使用不可に…このため中間車の一部台車は集電不可となり、他の室内灯を用意しても室内灯が付かなくなってしまった。
 幸いにも、両先頭車には回転しなくなった台車がなかったので、前照灯や尾灯の点灯には被害がなかった。
 とにかく、この模型はそんな苦労をしてやっとまともに走るようになった。モーターは調子よく、走りそのものは良好。
 我が家ではこの車両に室内灯を付ける気はないので問題ない。元々前オーナーが付けていた室内灯は外すつもりだったし…。

 私はJR東海371系には一度だけ乗った。
 冬のある日、気まぐれで新宿から沼津まで乗った「あさぎり」が371系だった。しかも、取れた座席は先頭車最前列(運転士の背後)。帰りは熱海に出て「スーパービュー踊り子」に乗車…今はどっちもないんですよね(涙)。
 ダブルデッカーに乗りたかったけど、それは叶わなかった。
 ここからはJR東海371系とともに活躍した小田急20000形RSE車とのすれ違いシーンをごらん戴こう。
 RSE車の派手なパステルカラーはバブリーで、今となっては「時代」を感じる。
 同じ運用で乗り入れ列車で使う車両なので、統一規格で作られていて共通点は沢山ある。
 だが共通でない部分はダブルデッカー車の一階席、小田急はセミコンパートメント車としていたが、JR東海は一般座席車とした…JR西日本の新幹線「グランドひかり」を思わせる作りだった。
 また小田急は普通車をオールハイデッカーとしたが、JR東海は普通車はノーマルとした。小田急20000形RSE車は、これが仇となって引退が早まる原因になったのだけど…。
 実物はこんな橋梁を渡るところはなかったなぁ。このレイアウトにある曲弦トラスなら御殿場線にあったけど。
 こんな風景になじむ電車だ。

 2012年、東海道新幹線の輸送力増強に目処を付けたJR東海は「あさぎり」から撤退。同時にJR東海371系は小田急20000形RSE車とともに「あさぎり」運用から退く。その後もしばらくは団体列車用として残るも、2014年に引退して廃車となり、富士山麓電気鉄道に払い下げられた。
 現在はJR東海371系は、小田急20000形RSE車と一緒に富士山麓電気鉄道で特急列車として仲良く活躍する。引退した後も一緒だなんて思いもしなかった。
 そして現在、小田急から御殿場に乗り入れる列車は小田急の片乗り入れに戻り、60000系MSE車が活躍している。列車名が「あさぎり」から「ふじさん」に変わったのは、なんか寂しかったなぁ。

 私はJR東海371系の撮り鉄は何度かしていた。
 「あさぎり」時代に小田急線や御殿場線で何度か追いかけたし、2009年の「富士/はやぶさ」撮り鉄の際に間合いの「ホームライナー」で活躍する姿を記録。
 2014年の引退時も御殿場線で最後の活躍を記録した。
 現在はJRも小田急も、伊豆箱根方面の輸送では苦戦が続くと伝え聞く。伊豆箱根方面では観光スタイルの多様化が顕著で、鉄道がこれに追従できていないと私は見ている。
 小田急ロマンスカーも縮小傾向だし、JR東日本の「踊り子」にいたっては、一部の豪華列車以外は新車も入れてもらえない惨状だ…これでは観光客が余計に鉄道から離れるのではないかと危惧している。

 通勤輸送だけが鉄道じゃないんだ。
 時計の針を巻き戻して、JR東海371系の前に「あさぎり」で活躍していた小田急3000形SE車の登場だ。

 私はこの車両の「あさぎり」に三度ほど乗っている。うち一度は先頭車最前列という贅沢も味わっている。独特のモーター音は今も忘れない。
 この交代劇があったのが1991年春。当時の私は二十歳、若さに任せてあっちこっちの鉄道を追いかけていた頃で、もちろんこの交代劇も追いかけていた。
 御殿場で小田急3000形SE車を追いかけた翌週には、名鉄キハ8000系「北アルプス」を追いかけに犬山橋へ…なんてこともしていたなぁ。
 自宅のレイアウトでこの二車種を同時に走らせたら、若かったあの頃を思い出してちょっとセンチメンタルになってしまった。
 小田急3000形SE車が引退としたとき、このJR東海371系が引退する未来のことなんて考えてもいなかった。でももうその371系引退からも10年を超える月日が流れてしまったのだ。
 こんな感じでこの度入手したJR東海371系の模型について説明した。欲しかった模型がやっと入手できた楽しさと、手にした物が状態が決して良いとは言えない中古品でこれを問題なく使えるようにするまでの苦労の両方を味わうことになった。
 そしてこの模型は、実物において色々と思い入れもあって走らせると色々と懐かしさがこみ上げてくるものでもあった。そういう意味でも入手して本当に良かったと思っている。
 我が家の「小田急ロマンスカー」ファミリーの一員というか、居候として大事にしていきたい。

我が家ではこの「あさぎり」姉妹は不滅です

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