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001系「Laview」
令和の西武特急
・実車について
 西武鉄道は1969年の秩父線開業と同時に特急列車の運転を開始した。いまや伝説となった5000系「レッドアロー」を導入し、秩父への観光客輸送と沿線客への着席輸送サービスを開始し、定番となった。1993年には現在も活躍が続く10000系「ニューレッドアロー」導入と同時に、新宿線でも特急運転を開始した。
 そして2010年代、車齢20年を迎えようとしている10000系の置き換えが企図される。30000系や40000系といったデザイン的にも機能的にも優れた通勤電車の投入が続いていた西武鉄道がどんな特急電車を造るのか、その期待感が膨らんでいたのは確かだ。
 やがてこの新型特急について発表される、弾丸のような車体と鮮やかな車体、足下まで広がる大きな窓…建築家の妹島和世氏を筆頭にする複数のデザイナー監修のもと、これまでの鉄道車両にない大胆なエクステリアとインテリアのデザインで鉄道ファンだけでなく世間をもあっと言わせた。
 2018年に001系という形式名と「Laview」という車両愛称名をもらった実車が登場、平成時代が終わりを迎えようとしていた2019年3月、池袋線で営業運転を開始した。
 2020年、世間がコロナ禍で様々なことが自粛や制限が掛かっていたこのとき、001系は西武鉄道として5000系以来50年ぶりとなる「ブルーリボン賞」受賞を果たす。大胆なデザインだけでなく、車両の質の高さが認められたのだ。
 私としてはこの001系が新宿線の「小江戸」も置き換えるのではと期待していたが、残念ながら新宿線での運行は多客臨やイベント運行に限られた。そして新宿線の特急「小江戸」は廃止となって、新しい座席指定サービス列車に変更されると発表によって、001系新宿線定期運行の夢は絶たれてしまった。
 001系は西武鉄道のフラッグシップとして活躍が続く、今後はレストラン列車「52席の至福」を置き換える新レストラン列車としての増備が計画されていて、令和時代を代表する西武車両となってゆくことだろう。


・模型について
 001系はNケージ鉄道模型による再現は困難と考えられた。001系を象徴する側面の足下まで広がる大きな窓が、特に動力車において模型再現が困難になると考えられたのだ。このために001系は実車登場からしばらく鉄道模型での発売がアナウンスされなかった。
 ところがこの車両のNケージ模型化に敢然と挑んだメーカーがついに発売にこぎ着ける。そのメーカーはマイクロエース、大きな窓はキチンと再現され、動力車においても窓下だけに多くの機構を押さえ込んで非動力車と同じレベルで再現が出来た。
 私はマイクロエースの2回目の生産で発売した「G編成」の方を購入、我が家の池袋線ラインナップに加えた。

 以下アルバム形式で、模型の写真を紹介する。詳細はそこで紹介しよう。

 我が家の屋根裏に造った線路を走らせてみた。

 001系「Laview」はマイクロエースの手による、前述した通り我が家に来たのはG編成(第7編成)として販売された二度目の生産によるもの。
 基本的には手を掛けていないが、最近になって中間のカプラーをすべてTNカプラーに交換した。最近我が家にやって来たグリーンマックスの西武8000系加工用に、アーノルトカプラーを捻出するためだ。
 独特の先頭部もキチンと再現されている。非機械的な滑らかな曲線を描く車体前面、それとは対照的に開口部の多く機械的な印象があるスカート部分など、この車両の特徴がうまく出ていると思う。

 築堤上のカーブを行く光景は、入間市駅付近の大カーブか?
 前照灯や尾灯の点灯具合も悪くない、愛称表示がちょっと明るすぎる気もするけど、小田急EXEの模型などと比べたらかなりましになった。
 前照灯については、実車では複数のLEDの転倒具合の組み合わせで、笑っているイメージの状態等に変えることができる。模型ではヘッドライトレンズの交換でこれが再現できる…使うつもりはないけど。

 ヘッドマークステッカーは「特急 ちちぶ」を差した。私は登山等で秩父線を利用したときに出会うイメージが強いからだ。
 ジョークで「特急 小江戸」にしたかったけどな。
 駅構内(といってもまたホームはないけど)に停めた状態で撮影。
 地下鉄乗り入れに対応した細い車体と、前面非常扉の装備は、地下鉄乗り入れを想定したものだと言われている。
 先頭部を横方向から見ると、前面のカーブがかなり強いのがわかるだろう。現代的な流線型だが、最新の新幹線車両のような空力優先デザインでもないのが面白い。
 また客席窓の大きさがとても印象的だ。

 この形状を最初に「完成予想イメージ」で見たとき、始めて南海特急「ラピート」の完成予想イラストを見たときと同じ衝撃を受けた。
 この模型の動力車が、今回の肝と言って良いだろう。
 動力を組み込んだ上で大きな窓とそこから見える車内を再現するため、まずモーターや伝達機構を可能な限り下方に設置。このために床下の張り出しがレール面ギリギリまで下がっているので、レール面に凹凸が激しいと走行は難しくなるかもしれない。
 だがこれだけではまだ巨大な窓下だけで機構が収まらない。粘着を稼ぐためのウェイトがどうしても小さくならなかったのだろう。
 ウェイトは重心を低くするためになるべく低い位置に設置するのが鉄道模型のお約束だが、もうスペースがなくやむなく屋根裏部分に設置している。このため取り付け可能な室内灯も専用品となる。
 重心の高さが心配だったが、我が家のレイアウトでは問題なく走ってくれた。

 いずれにしろ、動力車でもこの大きな窓とそこから見える車内を再現するため、様々な工夫がされたということだ。
 先頭車を後方から見てみる。やはり大きな窓が印象的。
 側面のロゴや車号表記も上手く再現できている。この車両の雰囲気をキチンと掴んでいるのは確かだ。
 「西武特急三姉妹」の撮影会をしてみた。
 真ん中が今回の001系、左は伝説となった昭和の西武特急5000系「レッドアロー」、右は平成の西武特急10000系「ニューレッドアロー」。
 偶然なのだろうけど、西武鉄道は元号が変わるタイミングの前後で特急電車を置き換えている。

 平成の10000系はまだ現役ではあるが、もう引退のカウントダウンが始まっている。来年(2027年)春のダイヤ改正で、新型座席指定車40000系「トキイロ」に置き換えられて、「小江戸」号廃止と同時の引退が発表済み。今年の私のライフワークは、「小江戸」号最後の1年を記録することだ。
 西武鉄道を彩ってきた時代ごとの特急車両、この中で001系だけ新宿線での定期運行がないのは悲しいな。
 5000系も新宿線での定期運行は休日だけだったけど…10000系だけはその歴史のすべてで新宿線で毎日運行されている。その誕生も引退も、その舞台は新宿線だ。
 西武鉄道の特急電車は、小田急ロマンスカーや東武特急とはまた違う魅力がある。
 巨大観光地を目指すよそ行きの列車ではなく、沿線客が日常使える身近な列車としての魅力がある。だからこそ展望席のようなプレミアムに座席はないし、車両全体が豪華な特別仕様という訳でもない。
 そんな西武特急が私は大好きだ。
 模型だからこそ出来る夢のすれ違い。時代を超えて伝説のレッドアローと、令和の現役特急がすれ違う。

 レッドアローは本サイトで解説済みだが老舗KATOによるもので、1970年代末頃の姿を再現しているが、私がこれをなんとか1980年代前半の姿に近付けたもの。
 我が家の5000系は新宿線を走る姿を再現したので、当然のようにヘッドマークは「おくちちぶ」を差している。
 2014年夏に、西武鉄道は「おくちちぶ」を復活運行している。その運行時刻は5000系時代の「おくちちぶ」に近いものであった。
 ああいう列車を001系でも運転してくれないかな?と思う。
 そして現代の西武鉄道の主役同士がすれ違う。すれ違うのは40000系「S-Train」「拝島ライナー」だ。
 ラッシュ時は車内を回転クロスシートにして全車指定の着席サービス列車として、昼間は車内をロングシートにして一般列車として活躍するマルチプレーヤーだ。
 10000系を最終的に置き換えるのはこの40000系の新仕様車「トキイロ」となる。近い将来の西武鉄道は、池袋線の001系と新宿線の「トキイロ」の二本立てで歴史を紡いでゆくことになる。

 でもやっぱり、001系が新宿線に来ないのは悲しいというか悔しいというか…。
 これはちょっと番外編的な写真になるが、我が家の40000系に差している行き先が解るように写真を撮ったもの。
 ジョークで「各停 上石神井」を差しているのがわかるだろう。この模型を購入した当時、40000系L/C車が「拝島ライナー」として新宿線でも運行されることになるなんて知らなかったから、こういうジョークをすることになった。
 40000系が「各停 上石神井」の運用に入った話は聞いたことがない。6000系アルミ車はあるんですけどね(一度だけ新宿線で代走したとき、人身事故によるダイヤ変更で上石神井で運転打ち切りの列車として運行されたいたことがあった…その時の行き先表示がどうだったかは知りませんが)。
 最期には001系を流し撮りした写真をお送りしよう。
 やっぱりスピード感を楽しむ車両でないな。
 デッキトラスを渡る001系、でも実車はこんな橋を渡ることはありませんね。
 こういう実車が通らないような風景に、よくなじむんですよね。
…以上が今回我が家に入線した、001系だ。
 これまでにない大胆な大きな窓が、模型ではこれまでにない機構を組み込むことになってしまい、走行に当たっては色々と不安があったけどそれは杞憂に済んだ。走りは本当に問題ないですよ。
 西武鉄道ファンの一人として現代の西武特急であるこの車両の模型を迎え入れ、そして大事に走らせていこうと考えていますけど…やっぱり新宿線を走らないのは悲しくて悔しいな。

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