・West Coast Main Line:Preston-Carlisle
 西海岸本線:Preston(プレストン駅)~Carlislel(カーライル駅)

 2025年8月9日 プレイ動画追加


1980年代のイギリス主要幹線を楽しもう

・収録車両
 BR Class 87/0 electric locomotive(本線用電気機関車)
 BR Mk3a & Mk1 NHA coaches(急行列車用客車)
 BR Mk2a coaches(急行列車用客車)
 BR Class 47/4 diesel locomotive(本線用大型ディーゼル機関車)
 BR Class 08 diesel shunter(構内入替用小型ディーゼル機関車)
 BR Class 101 DMU(一般旅客用気動車)
 その他 関連する貨車
 (その他 他のマップDLC導入により運転可能となる車両あり)

・オプション車両(別売)
 BR Class 86/2 electric locomotive(本線用電気機関車)
 Buffet Car(軽食堂付き二等客車)
  ※ 要「BR Class 86/2 & Mk2F Coaches Loco Add-On」


 今回紹介する路線はイギリスの主要幹線、首都ロンドンとスコットランド最大都市のグラスゴーを結ぶ西海岸本線(West Coast Main Line)の一部となるプレストン~カーライル間で、この区間にある支線も含めて合計100マイルほどの長い路線がプレイできるマップだ。

 前述したように、今回のマップはロンドンとグラスゴーを結ぶを主要路線の一部だ。よって線路はよく整備され、全線複線電化という本線級の在来線を思う存分楽しめるマップと言って良い。AIで登場する列車本数も多めで主要幹線の賑わいを感じることが出来るが、日本のそれとの違いは沿線の人口密度が低いために駅が少なく、プレストン~カーライル間の約90マイルの間に4つしかない。よって通しのローカル列車はなく、ゲームに登場するローカル列車はすべて支線への直通列車だ。

 路線はプレストン側は平坦地が多く、途中駅の一つランカスター付近では海岸を走る区間もある。
 これに対してカーライル側は丘陵地を超える峠越えの区間で景色はとても良いが、標高279メートルのシャップ峠を頂点とした勾配の運転に気を遣わされる区間だ。この峠は古くからの難所の一つと知られ、ここの運転そのものだけでなく「峠越え」の風情も楽しめる楽しい路線であることも付け加えよう。

 本マップでの列車運転は電気機関車による主要幹線の急行列車(荷物列車含む)の運転と、支線に直通するローカル列車(気動車)の運転が楽しめる。これに数は少ないが貨物列車が加わる。今回は幹線急行列車の方を主に紹介する。

 この路線は交流電化されているので、ゲームには旅客列車牽引用の電気機関車が用意される。標準装備は1970年代中頃に登場したClass87型電気機関車で、これに別売オプションとしてその一つ前の型式であるClass86型電気機関車が加わる。この二機種の電気機関車は貨客両用の汎用電気機関車で、旅客列車牽引の最高速度は100~110mph(160t~180km/h)となる。この電気機関車が様々な編成の急行列車を牽引し、その高速運転を思う存分楽しめるマップだ。

 客車はイギリス国鉄の標準型であるMk2型客車を中心に、様々な客車で編成される。Class86型電気機関車のオプションを導入すると軽食堂(ビュフェ)付き車両が連結されるようになり、フリーモードで客として乗る場合にその雰囲気を楽しめる面白い内容だ。

 マップはこれらの機関車や客車が主力的な活躍をしていた、国鉄時代の1980年代中頃の時代設定で再現されている。すでに近代化前の鉄道施設や車両は一掃されているが、2020年代の現在から見れば間違いなく「ひと時代前」の鉄道情景が描かれているのは確かだ。日本でも「当時はあったけど現在は見られない鉄道風景」だったものがいくつか見られ、荷物車も連結される列車や荷物専用列車も出てくる(運転も出来る)など、少し懐かしい鉄道情景が出てくる楽しいマップだ。

 本区間のマップは旧作「Train Simulator Classic」でも存在していた。同様にClass87型電気機関車と客車がセットされ、同じ時代設定でマップが作られていた。旧作ではカーライルから北、カーライル~グラスゴー間も別マップとして存在していたので、2マップを跨ぎながらプレストン~グラスゴー間の運転も楽しむことができた。私もこの旧作のマップはよくプレイしていて、振り子型特急電車によるプレストン~カーライル~グラスゴーのシナリオを自作して2時間以上の運転を楽しんだりしていた。この旧作のマップを紹介する機会を失ったまま、「Train Sim World」の時代になってしまった感じだ。

 いずれにしろ、在来線の主要幹線での列車の運転を思う存分楽しめるし、また電気機関車の運転も楽しめるので、安心して他人に勧められるマップだ。

 では、まずは車両の紹介をしていこう。


・車両の紹介
 まずは本マップに標準で付録の、Class87型電気機関車を紹介しよう。

 Class87型電気機関車は、1973年から1975年に掛けて36両が製造された貨客両用の汎用電気機関車。
 1970年代後半から1980年代中頃に掛けては、イギリス国鉄がフラッグシップ扱いしていた電気機関車であることで知られた機関車だ。

 この画像はClass87型の1エンド側(公式側)。
 後述するClass86型の改良型で、出力3800kw、最高速度110mph(180km/h)の電気機関車だ。
 西海岸本線には本マップで出てくるシャップ峠と、カーライルの北にあるビートトック峠という二つの峠を抱えており、Class86の性能では定時運行が厳しかったとされている。

 この画像はClass87型の2エンド側(公式側)。
 特徴はニ枚窓の前面で、Class86型が三枚窓だったのに対して、前方視界確保等を目的に改良された点だ。
 またイギリス独自の巨大な運行番号表示窓がなくなり、近代的な印象がある。
 屋根上をみれば、パンタグラフが後位側のみに設置されているのがわかる。

 この画像はClass87型の1エンド側(非公式側)。
 Class87型は西海岸本線を中心に旅客・貨物の双方で活躍し、1997年のイギリス国鉄民営化で全機がヴァージントレインズに移籍。
 その後はイギリス国内の旅客鉄道や貨物鉄道を転々とした後、ブルガリア等へ中古電気機関車として売却され、2010年代後半には保存機を除いてイギリスから姿を消した。

 この画像はClass87型の2エンド側(非公式側)。
 Class87型の運転台。日本で同時代に作られた電気機関車とは違い、電車並にスッキリした印象。
 ブレーキは自動ブレーキと電気ブレーキが連動するのは良いけど、このゲームのこの機関車では個別に操作できないのが困る。特に峠からの下りで困る。
 もちろん、自弁と単弁は個別に操作できる。

 交流電気機関車につき、「セクション」はノッチオフで通過だ。「セクション」標識を見落とさないよう運転しよう。
 カーライル駅で発車を待つ Class87型牽引の急行荷物列車。
 こんな全車荷物車の急行荷物列車の運転が出来るのが、このマップの面白いところのひとつ。プレストン駅では荷物列車専用ホームに発着するのも面白い。

 実物もそうだったのかは分からないが、このゲームでは基本的に機関車の二位側が下り方面を向いているので、カーライル方面行き(下り列車)は二位側の運転台を使うことになる。
 この画像の列車は上り列車(プレストン方面行き)なので、一位側が前を向いている
 これは国鉄時代の新塗装機、本ゲームではClass86型とClass87型の双方で、旧塗装と新塗装の双方が用意されている。機体や時代ごとの細かな差異も表現される。

 実物は貨客の双方に使用されていたが、本ゲームでも貨物列車を牽引する運用が用意されている。


本マップのハイライト、シャップ峠の信号場を通過する Class87型牽引の急行荷物列車
長い上り坂が終わってホッとすると同時に 長い下り坂に向けて緊張する瞬間だ。

 続いては別売オプションとなる、Class86型電気機関車を紹介しよう。

 Class86型電気機関車は、1965年から1966年に掛けて100両が製造された貨客両用の汎用電気機関車。
 この機関車は西海岸本線の電化に合わせて製造された。

 この画像はClass86型の1エンド側(公式側)。
 当時のイギリス国鉄の標準型電気機関車として設計されたもので、出力2685kw、最高速度100mph(160km/h)の電気機関車だ。

 この画像はClass86型の2エンド側(公式側)。
 正面は三枚窓で、前照灯周りの凸部はイギリス独自の巨大な運行番号表示窓が取り付けられていた名残。
 パンタグラフが後位側のみに設置されているのは、Class87と同様だ。

 この画像はClass86型の1エンド側(非公式側)。
 Class86型は西海岸本線を中心に旅客・貨物の双方で活躍し、1980年代には新たに電化された大東本線に移動する機体もあった。1997年のイギリス国鉄民営化では複数の旅客・貨物鉄道に移籍。
 2000年代に入ると老朽化から淘汰が進み、一部がブルガリア等へ中古電気機関車として売却された。イギリスで最後まで残った機体も、2021年3月に退役した。

 この画像はClass86型の2エンド側(非公式側)。
 Class86型の運転台。こちらも日本で同時代に作られた電気機関車とは違い、電車並にスッキリしている。
 扱い方についてはClass87型と同様、マスコンの段数なども一緒だ。

 ちなみに、画像右側に写っているカンテラはスイッチを入れると光るのが面白い。そこから動かすことは出来ないのに…。
 プレストン駅を出発するClass86型牽引の急行列車。
 こちらも新塗装機で、Class87型同様機体や時代ごとの細かな差異も再現されている。
 夜明けの西海岸本線をグラスゴーへ急ぐ夜行列車。本ゲームでは夜行列車のダイヤは用意されているが、車両は昼行列車と同じで寝台車などの用意はない。


シャップ峠の信号場を通過する Class86型牽引の急行列車
貨物用の側線を多く持つこの信号場の雰囲気がとても好きだ

 続いては客車を紹介しよう。今回は本マップに付録の客車のうち、「マーク2」(Mk2)と呼ばれるものについて紹介する。

 まずは一等車、これは「マーク2」でも初期の車両で、空調非完備で開閉式の窓を備え、客室はコンパートメントとなっているタイプ。
 新塗装のこの車両は、「マーク2」一等車でもモデルチェンジしたタイプ。
 前掲の画像のものと基本的な構造は同じでありつつも、冷房完備で固定窓となったことで印象がかなり違う。
 また客室も開放客席となるなど、近代的な客車だ。
 「マーク2」初期車の一等車は、前述したように客室はコンパートメントになっている。
 6名1室のコンパートメントが7部屋用意される。もちろん部屋売りではなく座席売りで、相部屋は当たり前だ。


【余談】
 東京の「ハリー・ポッター スタジオツアー」に展示されているのも、これと同様の一等車だ。あちらは「マーク1」という一時代前の車両で、車体の長さなどが違う。
 本ゲームを楽しむ私としては、「ハリー・ポッター スタジオツアー」へその客車を見に行きたいと真剣に考えている。イギリスの客車を国内で見られるのは、そこだけかと思うので…。
 こちらはモデルチェンジした「マーク2」一等車の車内。2-1配置でボック位シートが並び、大きなテーブルは「プルマン式食堂車」(プルマン式寝台とは違います)を連想させます。

 ヨーロッパのおやくそくで座席は回転しませんが、座席そのものが大きく、ピッチの広いので足も伸ばせそうなのが羨ましいですね。
 続いては二等車。これは「マーク2」初期車の二等車。
 車両の両端だけでなく、中央にもデッキを備えた片側3扉の車体で、空調非完備で開閉式の窓を備える。
 こちらはモデルチェンジされた「マーク2」二等車。
 冷房完備で固定窓となっただけでなく、中央デッキが廃されて片側2扉になったことで印象は大きく変わった。
 これは前掲画像と同じ車両の新塗装。色が違うとまたイメージも変わる。
 本ゲームでは、客車については新塗装車と旧塗装車がランダムに出ているようで、どちらかで統一された編成はなく、いつも混色編成となっている。
 しんがりを務めるのは、二等車と荷物車の合造車。こちらも新塗装車と旧塗装車の双方が用意されている。
 「マーク2」初期の二等車の車内。この車両は座席が独立タイプのものに交換され、座り心地は良さそう。
 木目の内装が印象的。またボックスシートが旅情を誘う。
 こちらはモデルチェンジした二等車。固定窓でスッキリした印象だけど、車内が狭く見える。よく見れば通路が狭い。
 同じ形式の客車の同じ二等車でも、こうも印象が変わるとは…。
 続いては、ゲームではオプションのClass86型機関車に付いてくるビュフェ車。

 この車両は旧式の「マーク1」のビュフェ車…ゲームに「マーク2」のビュフェ車があるのかなぁ? 少なくともうちでは見かけない。
 「マーク2」に比較して角張った車体と、古めかしいイコライザ台車が、旧式であることを主張している。
 中央デッキ前後の窓がない部分の、手前側がビュフェになっている。
 このビュフェ車の一般客室はこんな感じで、独立座席になっていない古めかしいボックスシートが並ぶ。
 ボックスシートってこれですよ!と言いたくなる座席だ。
 ビュフェを覗きこんでみる。小さなテーブルが付いたシートがあるが、基本的にはテイクアウトの利用が前提で、立食形式でも使えますよレベルの設備だ。
 カウンターはこんな感じで、ゲームでは販売員さんが乗っている。
 背面の棚を沢山並ぶ瓶は、酒類だろうか? 酒だけでこの量は多いような。
 土産物も売っているようですね。
 手前側のショーケースには、サンドイッチやスイーツが並べられている。後ろにはスナック菓子らしいものも見える。
 こんな楽しそうな鉄道車両は、現代の日本では絶滅済みだ。
 最後の登場は、もう日本では絶滅して40年が経とうとしている荷物車だ。鉄道ファンでも「手小荷物輸送」といって分かる人はかなり減ってしまった。要は現在の日本で言えば、JR東日本の「はこビュン」みたいなものだ。

 それはともかく、観音開きの大口径の荷物用扉が片側4ヶ所に設置され、中央の扉は車掌用のようだ。
 車体は「マーク1」に準じているけど、台車は「マーク2」と同じもの。こちらの荷物車は、急行列車に1~2両連結されるタイプだ。
 前掲画像の車両と同じ荷物車だが、こちらは台車も「マーク1」と同じだ。
 こちらは車体に「Express Parcels」の表記があり、ゲームでは荷物車だけで編成される急行荷物列車として登場する。

 これは郵便小包を運ぶ専用列車で、この列車はその後電車化され、8~12両編成の郵便小包専用電車が西海岸本線を走っていて、旧作ではこの郵便電車もあった。
 荷物車の車内はこんな感じで、今回は積まれている荷物の再現はない。
 車掌室を中心にして前後の2室に分かれている。
 車体の中央には車掌室が設置され、フリーモードではここに乗り車掌席に座ることも出来る。荷物列車車掌気分を味わえるということだ。
 車掌室にある各ハンドルや空気弁は動くから、うかつに触ると列車が停まってしまうので注意。

…続いては車窓風景を「プレイ動画」で紹介しよう。まずは本線を全線踏破した動画だ。

・「世界の車窓から」
 プレストン駅→カーライル駅間 下り列車全線プレイ動画
(約87分)

Class86型電気機関車牽引の急行列車で、プレストン駅からカーライル駅へ走ります。
広々とした大地と峠越え、グレードブリテン島を南北に縦断する主要幹線の旅を楽しもう。

 キングムア操車場→カーンフォース駅間 上り列車プレイ動画(約84分)

Class87型電気機関車牽引の急行荷物列車で カーライル駅の北にあるキングムア操車場から カーンフォース駅へ走ります。
日本ではひと時代前に姿を消した長編成の急行荷物列車の運転を楽しもう。

 都市と都市を結ぶ長距離の主要幹線で 電気機関車牽引の長距離列車を楽しめるこのマップは
日本の鉄道ではすでにひと時代前となってしまった鉄道情景をも楽しむことができます
在来線主要幹線の列車の運転を楽しみたい人 電気機関車の運転を楽しみたい人には
安心してオススメできるマップです
日本国産の鉄道運転シミュレータゲームにはないタイプの路線と車両ですので
多くの日本人に手に取ってもらいたいと思います


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